世界選手権が、アルメニアで閉幕した
2026年8月8日から19日にかけて、連珠チーム世界選手権(TWC2026)が、アルメニアの首都エレバンにある「チェスハウス」で開催されました。連珠(Renju)とGomoku(五目並べ)の2種目に、7カ国8チームが参加しました。
主催者のAlbert Pogoshanさんとは、2025年のチェコ世界選手権で出会い、その縁で今回の公式サイトを担当させてもらうことになりました(このいきさつは以前の記事に書きました)。今回は、サイトの運営担当としてだけでなく、選手としても現地で対局していました。
そして大会が終わった今、あらためて書き残しておきたい出来事があります。
対局中も動き続けるサイトにしたかった
選手として大会に出ている以上、当然ですが、自分の対局中はパソコンの前を離れます。その間、サイトの更新作業は一切できません。
一方で、大会には「renju.net」という、審判や記録係が対局中の棋譜や結果をリアルタイムで入力していく、別のシステムがあります。情報自体はそこに集まっているのに、それをTWCサイトの対戦表に反映する作業は、結局は誰かが手を動かさなければいけません。
そこで、AIに「renju.netの情報を定期的に取得して、変化があればTWCサイトの対戦表に自動で反映する仕組み」を作ってもらいました。私が盤の前に座って対局している間も、裏側ではこの仕組みが静かに動き続け、対戦表を最新の状態に保ってくれていたのです。
「見やすくて助かったよ」対局会場でもらった声
大会中、対局会場で何人もの選手から直接声をかけてもらいました。ポーランドチームの選手、チェコチームの選手、ロシアのエピファノフさんたちのグループ——それぞれ別の国から来た人たちが、口をそろえて同じようなことを言ってくれたのです。
スコアなどの対戦表が見やすくて、状況が把握しやすくて助かるよ
作っている最中は、ひとつひとつの機能を「ちゃんと動くか」「情報が欠けていないか」という視点でしか見られていませんでした。でも実際に会場でそう言われて、はじめて気づいたことがあります。対戦表は、選手たちにとって「自分たちが今どういう状況にあるのか」を知るための、実務的な道具でもあったのだと。
画面の向こうにいる人を想像しながら作ってきたつもりでしたが、面と向かって「助かった」と言われる体験は、想像していたものとはまったく違う重みがありました。
主催者Albertからのコニャック
そしてもうひとつ、忘れられない出来事がありました。大会がすべて終わったあと、主催者のAlbertが、私にコニャックを一本手渡してくれたのです。
アルメニアは、コニャック(ブランデー)の名産地として世界的に知られています。その土地の誇りともいえるお酒を選んで渡してくれたことに、言葉以上の意味を感じました。
サイトを作ったのは日本にいる私で、実際に画面を見ながら対局していたのは、アルメニアやポーランド、チェコ、ロシアの選手たちです。国も言語も文化も違う人たちの間に立って、それでも「ちゃんと役に立った」と伝えてもらえる。これほど嬉しいことはありません。
ニュース記事の更新も、AIと二人三脚で
対戦表だけでなく、大会レポートやニュース記事の更新でも、前回の記事でこんなことを書いていました。
忙しい現場でも無理なく情報を発信し続けられること。それが、世界大会のサイトには何より大切だと思うのです。
正直なところ、これも「理屈の上ではそうあってほしい」という願望でした。自分自身が対局に追われる中で、大会レポートまで手をかけて書くのは簡単ではありません。そんな中で、AI(Claude)と連携した更新の仕組みが本当に機能するのか、少し不安もありました。
結果として、この仕組みもうまく機能しました。原稿さえ渡せば、あとはAIが下書きを整えてくれる。対局と運営を掛け持ちしながらでも、情報発信を止めずに済んだのです。
作ったものが、誰かの役に立った瞬間
ウェブサイトを作る仕事は、公開した瞬間がゴールに見えがちです。でも本当に手応えを感じるのは、公開したあと、それを実際に使った人から声が返ってきた瞬間なのだと、今回はっきりわかりました。
対局中も止まらなかった対戦表と、対局の合間にAIと一緒に更新したニュース記事。その裏側にあった工夫が、対局会場でもらった「見やすくて助かったよ」という一言と、Albertから手渡されたコニャック一本につながっていました。
盤を挟んだ一つの出会いから始まった仕事が、遠く離れた国の選手たちに届いていた——それを確かめられたことが、今回のいちばんの収穫です。